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特許分析事例集

4. 超小型キセノンフラッシュ用IGBT

 2009年1月22日、三洋半導体株式会社は、「カメラ機能付き携帯電話に向けて、業界最小となるキセノンフラッシュ用IGBTを開発」と発表いたしました。携帯電話にキセノンフラッシュを搭載するには、様々な問題があり、気になるニュースです。
 第四回の分析事例として、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の出願動向を「XLUS White」にて解析いたしました。

今回発表した製品の特長

チップのセル構造の最適化と、周辺耐圧構造の見直しによる有効動作面積率の向上によって、業界最小のECH8外形へ搭載可能なチップサイズを実現。実装面積が従来比60%減となり、キセノンフラッシュモジュールの小型化に大きく貢献。また、ボンディング・ワイヤレス構造により、実装高を10%低減し業界最薄クラスを実現、チップの動作効率向上と電極取り出しの配線抵抗を極限まで小さくすることが可能。
詳細は、ニュースリリースを参照してください。
三洋電機ニュースリリース

出願動向

まずは、過去10年間のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)【FI=H01L 29/78 655】の出願傾向をみてみます。

出願件数では、富士電機がトップ、ついで、東芝、トヨタという順番で、三洋電機は12位という結果になっています。
今回の特長の1つである「周辺耐圧構造の見直しによる有効動作面積率の向上」という点ではどうでしょうか。フリーキーワードを用いて、集合を絞り込み、再度、出願傾向をみてみます。

富士電機のトップは変わりませんが、三洋電機(三洋半導体含む)が2位となっています。
※ PATOLISのRANK機能を使うと、いろいろな切り口で簡単に集計を行うことが可能です。

XLUS White による解析

 「XLUS White」は、特許を検索、または、他の検索システムの集合を公開番号ベースで取り込み、公報全文の類似度を元に高速解析、特許の「近さ」を「高精度」に「定量化」し、特許相互の関係を「視覚化」(レーダー図化)します。特許情報を「素早く」、「俯瞰」、「解析」できるツールです。
 類似の高い特許公報は同一クラスタとなり(クラスタは●で表され、公報数が多いと大きな●となります)、クラスタ間の距離も類似度に基づいて配置されます。
XLUS White についてはこちら


IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いた製品群
 まずは、IGBTを用いた製品の傾向をみるべく、FIではなくフリーキーワードを用いて、応用製品込みの集合を作成、「XLUS White」で、傾向をみてみます。
※ フリーキーワードは独自の抄録データと発明の名称から抜き出した技術用語で
    精緻で迅速な検索に威力を発揮するものです。

●1つがクラスタですが、わかりやすくするため、より大きな概念を白い線で括っています。
これをクラスタ群と呼び、分析の目的によって様々な括り方をします。
「IGBTの製造技術」に関する特許の他は、主要製品である中大型IGBTを使用したものが大きなクラスタ群を形成しています。
フラッシュ関連に関しては、やや離れた位置にクラスタ群を形成しており、公報に他とは異なった技術が記載されている可能性があります。「XLUS White」は、クラスタを表示しているチャート(レーダーと呼びます)から、実際の公報全文まで簡単にたどり着けますので、実際に公報を見てみると、他のIGBTとは異なった技術要素が必要であることが読み取れます。


IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の技術要素
 続いて、IGBTの技術要素をみるべく、FIを用いて作った集合を「XLUS White」で解析、傾向をみてみます。

黄色の線で囲まれて緑がかって見える●が、富士電機の特許、明るい紫の●が三洋電機の特許となります。
富士電機は多くの技術要素をカバーしていますが、三洋電機は、若干離れた領域に技術要素を持っていることがわかります。

 Web上では詳しく述べられませんが、三洋電機が主要となっている若干離れた領域の技術要素は、「セル構造の最適化と、耐圧構造の見直しに関する技術」となっています。
 IGBTの主な用途として、中大型のものは「UPS(無停電電源装置)」「IH調理器」「鉄道車両やハイブリッドカー用インバータ等」で、小型のものは「ストロボフラッシュ」が代表かと思われます。プレイヤーとしては、富士電機、東芝、三菱電機、日立が強く、トヨタの出願が多いのはハイブリッドカー用途と思われます。ただ、用途向けにトップシェアベンダーは異なっており、デジカメフラッシュ用途に限れば、三洋電機が40%のシェア(2008年)となっています。

 携帯電話へのキセノンフラッシュ搭載に関しては、課題が多く、製品としては数機種でている程度です。ただし、ユーザーの「携帯電話に対するコンパクトデジカメとしての要求」は年々高まって来ています。キセノンフラッシュの駆動には大電流が必要ですが、携帯電話に搭載するには、「小型化」「薄型化」「省電力」といった相反するキーワードが課題となります。
 「XLUS White」で見てみると、三洋電機の特許は他と差別化された技術要素であり、これは、IGBTの小型化を念頭においた他の解析結果でも同様となっています。携帯電話向けキセノンフラッシュ用IGBTの分野では、当面、三洋電機がキープレーヤーになると予測されます。

特許分析評価グループ 丸山宏行




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